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はじめに
十数年前,それはまだ,オーダリング,レポーティングが用紙で運用されていたころである.突然に検査情報室の業務を言い渡され,データ管理検体管理室の一角で,その業務をスタートした.どのような必要性から発生したのか定かでないが,各科からの問い合わせがタライ回しされる場合がよくあることや,外注検査関係に対応できる部屋がなかったことが大きな理由であったように思う.
実際業務がスタートすると,検体の容器から運用面の細部にわたり認識されていないことの多さに驚かされることばかりだった.臨床の現場に立つ人々が検体容器のすべてを認識することの困難さ,それは検体が容器違いで返却されるという結果をもたらすのであるが,検査室単位で仕事をしていたときには思いもつかなかったことである.外注検査の検体の保存方法1つ取ってみてもガイドマニュアルがあれば簡単に判断できることであるが,当時は臨床検査部のマニュアルや運用マニュアルすら作成する予算もなく,研修医のオリエンテーション本で毎年紹介していたのと,薬剤部の薬剤一覧の最後に正常値一覧を便乗させてもらっていたのがただ1つの救いであった.
1994年,病院の移転に伴い,他病院では既に行われつつあったコンピュータシステムを検査部にも導入することになった.大型ラベラーを有する検査部は,登録されたオーダーの容器作製を入院外来患者分すべて準備した.時間に間に合わなかった通常検査オーダーや緊急検査オーダーに関しては,各科でラベルを容器に貼り作製を担当している.
検査情報室もシステムの導入によってその業務も大きく変化して行くことは予想されたことではあったけれど,検査オーダーの方法,特に予約検査の場合,運用面での各科からの問い合わせが増えたことは容易に理解できた.オープン当初,発生する情報量の多さにコンピュータはスローダウンして業務に支障を来し,プログラムの見直しがなされた.さらに5年後,システムはWin 3.1からWinuNTに移行し,運用ソフトの改善,追加,ハードの強化も行われたが,障害発生ごとにその改良もなされ現在に至っている.
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