技術講座 病理
非上皮性腫瘍の免疫組織染色
石川 喜美男
1
,
三瓶 接子
1
,
長尾 孝一
1
,
宮 哲正
2
,
久川 芳三
2
1(株)ケーアイエー細胞病理研究所
2(株)保健科学研究所
pp.23-30
発行日 2007年1月1日
Published Date 2007/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101213
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新しい知見
時代の変遷とともに,疾患概念は変化し腫瘍の分野においても例外ではない.特に,免疫学的検査法の普及やバイオテクノロジー(生命工学)の応用により,腫瘍の組織起源や分化も解明されつつある.2002年のWHO軟部腫瘍組織分類は,数多くの技術が応用され改定されている.わが国においても,一部の施設ではパラフィン切片での免疫組織染色法による遺伝子蛋白質の証明,RT-PCR法による融合遺伝子の検出などが行われている.また,免疫組織染色は腫瘍分野において,次のように幅広く応用されている.①悪性腫瘍の鑑別診断および発生母地や分化の方向の推定,②癌遺伝子,癌抑制遺伝子およびアポトーシス関連遺伝子産物蛋白質の証明による予後の推定と抗癌剤などの治療効果の推定,③サイトカイン,接着因子の証明による癌転移臓器特異性の追求と治療.非上皮性腫瘍は骨や軟部に多く発生するが,上皮性腫瘍と比較し発生頻度は低い.しかし,その発生由来組織によりさまざまな形態をとり,診断に難渋することが少なくなく,多くの病理組織学的検査法が要求されている.今回は非上皮性腫瘍の鑑別や診断の一つとして用いられている免疫組織染色法と代表的な非上皮性腫瘍の組織像について解説する.
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