増刊号 顕微鏡検査のコツ―臨床に役立つ形態学
VI 病理
各論
5 腫瘍
3 上皮性腫瘍(癌腫)と非上皮性腫瘍(肉腫)
村田 哲也
1
1JA三重厚生連鈴鹿中央総合病院病理診断科
pp.1256-1260
発行日 2009年9月15日
Published Date 2009/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102632
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1 上皮性腫瘍と非上皮性腫瘍
上皮とは,生体の表面にあって外界と接している細胞である.皮膚の表皮細胞がわかりやすい例であるが,消化管や呼吸器,泌尿器や生殖器も外界と体内で接しており,ここでも最表面には上皮細胞が存在している.
上皮細胞は機能と形態から扁平上皮細胞,腺上皮細胞(円柱上皮・立方上皮など),尿路上皮細胞(移行上皮細胞)の大きく三つに分類される.扁平上皮は表皮のほか,口腔から食道や腟などに存在し,尿路上皮はその字のごとく腎盂から尿道までの尿路に存在する.腺上皮は分泌や吸収に関与し,また分泌物を内腔まで排出する導管にもみられる.
一方,非上皮細胞は,上皮細胞以外のすべての細胞を指すため,多種多様である.線維芽細胞,骨細胞,軟骨細胞,血管細胞(血管内皮細胞),脂肪細胞,神経細胞,造血細胞,免疫担当細胞などが非上皮細胞に含まれる.
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