増刊号 新しい臨床検査・未来の臨床検査
各論
2.生化学検査
ノート 各種炎症マーカーの特性
安東 由喜雄
1
1熊本大学医学薬学研究部病態情報解析学分野
pp.1175-1178
発行日 2006年10月15日
Published Date 2006/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101080
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はじめに
生体内で炎症が起こると,まず白血球の動員が起こり,それにより種々のサイトカインが産生される.このとき生じたサイトカインの作用によりC反応性蛋白(C-reactive protein,CRP),血清アミロイドA蛋白質(serum amyloid A,SAA),α1-酸性糖蛋白質(α1-acid glycoprotein,α1-AGP),シアル酸などの急性期炎症蛋白質が産生されるが,この動きと呼応してアルブミン,トランスサイレチン(transthyretin,TTR),レチノール結合蛋白質(retinol binding protein,RBP),トランスフェリン(transferring,Tf)などの反急性期蛋白質(anti-acute phase protein)は上記の急性期炎症蛋白質の動きと鏡面対象のようにその血中濃度が低下する1).これらの蛋白のうち,アルブミンは血中半減期が約3週間と比較的長いのに対して,半減期が短く,炎症時や栄養状態によって変動するTTR,RBP,Tfなどの蛋白を一括りにし,rapid turnover protein(RTP)と呼ぶ場合もある2).
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