増刊号 新しい臨床検査・未来の臨床検査
各論
2.生化学検査
15 セロトニン
山口 政俊
1
1福岡大学薬学部
pp.1179-1181
発行日 2006年10月15日
Published Date 2006/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101081
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
セロトニンは,必須アミノ酸であるL-トリプトファンからトリプトファンヒドロキシラーゼ,ついでL-芳香族アミノ酸デカルボキラーゼにより生合成されるインドールアミンである.セロトニンは大半が末梢に存在し(90%が胃腸管のエンテロクロマフィン細胞,8%が血小板),1~2%が中枢神経系に含まれる.セロトニンの生理作用は広範で,血管平滑筋収縮,血小板凝集促進,胃腸管刺激などの末梢作用のほか,中枢において精神機能や神経内分泌の活動にもかかわっている.セロトニンは脳血液関門を通過しないので,脳機能は末梢セロトニンの影響はほとんど受けない.血液または尿中のセロトニン量を測定することで,末梢のセロトニン動態および病態を知ることができる.しかし,中枢セロトニンの変動を知るためには脳脊髄液中のセロトニンの測定が必要である.
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.