病気のはなし
褐色細胞腫
磯部 和正
1
1筑波大学大学院人間総合研究科臨床分子病態検査医学
pp.819-824
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100990
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サマリー
褐色細胞腫(pheochromocytoma)は稀な疾患ではあるが,副腎偶発腫瘍としてCT検査時などで発見されることも多い.特徴的な高血圧,頻脈などの症状は過剰産生されるカテコールアミンというホルモンに原因する.したがってカテコールアミンやその代謝物の過剰産生を証明することが,本疾患の診断の決め手となる.褐色細胞腫の多くは外科的切除によって寛解するが,10~15%は転移,再発を起こす悪性型である.その鑑別は難しい場合も多く,follow upが必要となる.悪性の副腎外褐色細胞腫(paraganglioma)では,SDHB遺伝子変異が高率に報告されており,関連が注目されている.褐色細胞腫に関するトピックスとしては,特発性と考えられる褐色細胞腫の25%にRET,VHL,SDHB,SDHDいずれかの遺伝子変異が認められるということである.これらの遺伝子に共通している低酸素シグナル系と発癌との関連が示唆されている.
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