病気のはなし
甲状腺癌
村上 正巳
1
1群馬大学大学院医学系研究科病態検査医学
pp.812-818
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100989
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
サマリー
甲状腺の悪性腫瘍の頻度は高いが,進行が緩徐なものが多く,剖検時の潜在癌として見いだされるものも多い.甲状腺の悪性腫瘍の代表的なものには,乳頭癌,濾胞癌,未分化癌,髄様癌や悪性リンパ腫がある.頻度の高い乳頭癌や濾胞癌は,進行が緩徐で,予後もよいが,未分化癌は,進行が早く予後が極めて不良である.髄様癌は,家族性に発生するものがあり,多発性内分泌腺腫症2型の部分症としてみられることがある.Ret癌遺伝子検査による発症前診断が可能となっている.悪性リンパ腫は橋本病を基盤として起こることが多い.甲状腺悪性腫瘍の診断には一般に穿刺吸引細胞診が有用であるが,濾胞癌と良性の濾胞腺腫との鑑別は困難である.
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.