臨時増刊特集 診断基準とその使い方
V.内分泌・代謝疾患
褐色細胞腫
山田 律爾
1
1獨協医大代謝科
pp.1914-1915
発行日 1977年12月5日
Published Date 1977/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207551
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概念
褐色細胞腫は重クロム酸カリで染色して褐色になる腫瘍であることから名づけられた.現在ではカテコールアミンを大量に含有する腫瘍を意味している.副腎髄質細胞から発生することが多いが,交感神経細胞などのクロム親和性細胞からも発生する.したがって,褐色細胞腫は副腎部の後腹膜下に主として発生するが,腹部のZuckerkandl器官や腹部大動脈前部,膀胱部,胸部(胸腔内)などにも見られる.このことは褐色細胞腫と診断しただけでは不十分であって,体内のどの部位にあると診断しなければならないことを意味する.副腎髄質からのカテコールアミンの分泌は安静時は非常に少ないが,刺激されると噴出と形容されるように急激に多量が分泌される.褐色細胞腫も同様で,カテコールアミンがあまり分泌されないときと,多量に分泌されるときがあるので,その症状は多彩であると同時に時間的な変動が著明である.換言すれば無症状の褐色細胞腫があることを意味している.
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