絵で見る免疫学 基礎編(59)
宿主とウイルスの攻防(5) インフルエンザウイルス その1
高木 淳
1
,
玉井 一
2
1アボットジャパン(株)器機診断薬事業部・営業学術
2栄光病院
pp.1366-1367
発行日 2004年11月1日
Published Date 2004/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100877
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毎年冬になるとかぜが流行する.以前はたかがかぜといわれていたが最近は事情が違う.インフルエンザとたかがといわれるかぜとは症状は似ているものの,原因が異なるからである.普通のかぜはライノウイルス(rhinovirus),コロナウイルス(coronavirus),アデノウイルス(adenovirus)などが気道に局所的に感染するのでその病状も軽い.一方,オルトミクスウイルス科に属するインフルエンザウイルス(influenza virus)の凶悪なものは気道のみならず脳を含む全身に感染し肺炎などの合併症を起こしやすい.
インフルエンザウイルスには,A型,B型,C型の3種類があり毎年のように流行するのはA型とB型である.しかし,B型ウイルスは大流行を発生しない.A型ウイルスに比べウイルスの変異が少なく,また,ヒト以外の感染が確認されていないこともその一因である.C型ウイルスはその変異もB型ウイルスに比べさらに少なく感染はあまりみられない.毎年のように流行して社会的な問題を巻き起こしているのがA型ウイルスである.その理由は,ウイルスの変異が激しく,さらに多くの動物がウイルスに感染しこれを媒介するからである.
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