絵で見る免疫学 基礎編(51)
宿主と病原体の攻防(2) 宿主と細菌の攻防・1
高木 淳
1
,
玉井 一
2
1アボットジャパン(株)器機診断薬事業部・営業学術
2栄光病院
pp.250-251
発行日 2004年3月1日
Published Date 2004/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100590
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細菌の侵入の手口
グラム陰性菌とグラム陽性菌の表面構造を図1に示す.細胞質を包んでいるのはともに脂質二重層から成る細胞質膜とペプチドグリカン層である.グラム陰性菌は薄いペプチドグリカン層を挟み外側にも細胞質膜がある.グラム陰性菌のペプチドグリカン層は薄いので,グラム染色で使われるアルコール処理により外膜が損傷し塩基性色素とヨードの結合体が菌体外に出てしまい染色されないのでグラム陰性になる.グラム陽性菌は細胞質膜の外側に厚いペプチドグリカン層を持つので塩基性色素とヨード結合体が菌体内に残り染色されてグラム陽性となる.ペプチドグリカンとは,横糸に相当する糖鎖と縦糸に相当するアミノ酸の鎖すなわちペプチドから成る網目状の層である.菌体の表面には,運動小器官である鞭毛や細菌同士の接合や宿主組織へ取り付くための線毛,リポ多糖体(lipopolysaccharide,LPS),リポタイコ酸,M蛋白質などが備わっている.細胞質にはDNA,RNA,リボソームなどを備えており,適切な栄養分を含む培地であれば独立して分裂と増殖が可能な最小な単細胞生物である.
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