けんさアラカルト
AGE その2 免疫学的測定法
川野 克己
1
1(株)エスアールエル技術開発部
pp.1408-1410
発行日 2004年11月1日
Published Date 2004/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100878
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はじめに
前稿(2004年10月号,1312~1314ページ),でも述べたように,現在,血中にAGE(advanced glycation end products,糖化反応最終産物)化蛋白質が存在することは,広く受け入れられている.1990年代前半においては,血中にAGE化蛋白質が存在するか否かについての議論が,日本メイラード反応研究会や日本糖尿病学会などでされていた.
当時,免疫組織染色法により,糖尿病性腎症患者の糸球体などの組織にAGEが存在することは既に知られていた.しかしAGEの生成には,長い期間を要すると考えられていたため,生体内では,組織基底膜などの代謝の遅い部位にしか存在せず,血漿蛋白質のように代謝の早い蛋白質はAGE化されるまでに至らない,との見解があった.また,AGE化蛋白質は,マクロファージ,血管内皮およびクッパー細胞(Kupffer cell)などに速やかに取り込まれ分解されることが,in vitroの培養系,あるいはラットを用いた実験1)からわかっており,その点もAGE化蛋白質が血中に存在しないとする否定的な見解につながった.
われわれは当初より,臨床検査としての立場からAGEに注目し取り組んだこともあり,いち早く血中AGEの免疫学的測定法を開発するに至った.本稿では,ELISA測定法開発までの経緯を中心に述べる.
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