増刊号 細胞像の見かた―病理・血液・尿沈渣
第2章 血液 骨髄塗抹標本の見かた
6.異常細胞の見かた
3)リンパ球系の異常(2)数の異常と形態異常―⑧形質細胞の異常(2)
中竹 俊彦
1
1杏林大学保健学部臨床血液学
pp.1110-1115
発行日 2004年9月15日
Published Date 2004/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100802
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はじめに
Bリンパ球系の異常は,(1)Bリンパ球になるまでの段階で腫瘍化したもの(急性・慢性リンパ性白血病),さらにBリンパ球から以降に(2)二次的(反応性)に生じた異常,および分化の最終段階で(3)形質細胞の本質的な異常,すなわち腫瘍性に起こった病態に分けて考えることができる.
成熟Bリンパ球は,備えられた性質に対してリンパ節で特異的な抗原刺激を受けると,主に血液を経由して骨髄へ回帰して定着(ホーミング)し,その分化と成熟を支持する骨髄の支持細胞の働きインターロイキン6(interleukin-6,IL-6)を受けて,形質細胞へと分化・成熟する.代表的な分化の異常は多発性骨髄腫で,前項の「形質細胞の異常(1)」として解説された.
ここでは,Bリンパ球から形質細胞に至る分化・成熟過程で慢性リンパ性白血病と多発性骨髄腫との中間にある高γ-グロブリン血症を示すさまざまな病態を解説する.
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