失敗から学び磨く検査技術 病理標本作製法
固定時に生ずるアーティファクト 固定不良による内部と辺縁部の染色性の違い
阿部 仁
1
1慶應義塾大学医学部病理学教室
pp.662-665
発行日 2004年7月1日
Published Date 2004/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100680
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
摘出された臓器は自家融解を避けるためできるだけ早く固定液に浸漬すべきである.図1は小脳のヘマトキシリン-エオジン染色(hemato-xyline-eosin stain,HE染色)で,摘出後すぐに20%ホルマリン液で固定した.それにもかかわらず,内部の顆粒層では核が自己融解による変性で泡沫状となりヘマトキシリンに染色されていない(図1-a).一方,辺縁部の顆粒層では核の染色も良好である(図1-b).なぜこのような染色性の違いが生ずるのだろうか.脳のような大きな臓器にだけ染色性の違いが生ずるのだろうか.考えられる原因についてさまざまな実例を挙げて説明する.
考えられる原因
1 . 臓器に割を入れないで丸ごと固定液中に放置した場合
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.