失敗から学び磨く検査技術 病理標本作製法
固定時に生ずるアーティファクト 1) 薬物障害 (3) 各種消毒薬
吉村 忍
1
1防衛医科大学校病院検査部病理
pp.286-290
発行日 2004年3月1日
Published Date 2004/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100601
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各種消毒薬浸漬によるアーティファクト
図1,2はいずれも採取した生の状態でクレゾール石鹸液に漬けた後,ホルマリン固定を行い標本作製を行った肝臓である.現在ではあまりみられなくなったが,皮膚生検実施時に器具を消毒するためクレゾール石鹸液を用い水洗不良のため薬品火傷の状態になる事例が報告される事例があった.図1は薬品火傷のため脱水状態となり濃縮・萎縮したヘマトキシリン-エオジン(HE)染色像で,図2はマッソン三重染色(Masson-trichrome stain)で皮膜のカラーバランスが完全に崩れたアーティファクト像である.現在ではクレゾール石鹸による器具消毒が行われることはないが,他の消毒薬で行われていることには変わりはない.現在用いられている消毒薬を中心に各種消毒薬の薬物障害による変化を知っておく必要もある.
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