失敗から学び磨く検査技術 病理標本作製法
固定時に生ずるアーティファクト 1) 薬物障害 (2) プリオン感染因子滅菌
吉村 忍
1
1防衛医科大学校病院検査部病理
pp.124-127
発行日 2004年2月1日
Published Date 2004/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100579
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プリオン病にホルマリン滅菌は効かない
クロイツフェルト・ヤコブ病(Creutzfeldt-Jacob disease,CJD)は特殊な蛋白質性感染粒子〔proteinaceous infectious particle略称prion(プリオン)〕による伝搬性海綿状脳症の1つであり,異常プリオンが脳内に蓄積され神経細胞を阻害して発病する.この異常プリオンは通常のウイルスに適応されている滅菌法は無効であり,ホルマリン固定によっても感染性は低下しないといわれている.病理診断を確定するためには標本作製は必要不可欠であり,十分な不活化処理と細心の注意を払って行わなければならない.厚生労働省遅発性ウイルス感染調査研究班による「クロイツフェルト・ヤコブ病診療マニュアル」によると従来の常識としての滅菌法は無効であることが多く,プリオン病の滅菌法は特別なものとして,完全な滅菌法,不完全ながら有効な処理,無効な従来の滅菌法に分けて解説している(表1).
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