失敗から学び磨く検査技術 病理標本作製法
固定時に生ずるアーティファクト 1) 薬物障害 (1) 生理食塩水
吉村 忍
1
1防衛医科大学校病院検査部病理
pp.120-123
発行日 2004年2月1日
Published Date 2004/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100578
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図1,2は生理食塩水にそれぞれ2日間放置(図1),4時間(図2)放置した肝臓の標本である.図1は強度の自己融解像と同様の形態を示したいわゆる腐った組織である.図2は細胞間隙の開きなどが見られるが十分所見の取れる状態である.
病理標本を作製する場合,生理食塩水で洗うことを嫌い直接固定液に入れることを奨める事例は多いが,臨床医にとって摘出した臓器は付着血液を洗い流し詳細な肉眼所見を検討したり,リンパ節を区分ごとに分けておくために用いることは必要不可欠な処置である.生理食塩水に浸しておいた場合,経時的にどのような変化が生じるのか,どこまでが許容範囲かを検証してみた.
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