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筆者は衛生技術科で臨床病態学や臨地実習を担当している立場から,まず教育現場の実情について述べます.18歳人口の減少によって進学は一般に容易となり,臨床検査技師養成機関として望ましい学力の学生確保が困難になってきています.教育課程においては,国家試験受験資格に必要な臨地実習の縮小や中断・中止を余儀なくされています.これは医療費抑制に対応して病院検査部門のブランチ化や技師数削減が進んだ結果で,就職問題にも直結しています.
一方,国家試験の合格率は表のように低下しています.最近の国家試験問題では「2つ選べ」といった設問が増加し,より正確な知識が要求されています.また,細胞診の画像問題,筋電図・心電図の読み取り,症例の検査結果から次に行うべき検査を問うなど「考えさせる」問題が重視され国家試験は難しくなってきています.検査の進歩に伴い臨床検査技師に専門職として,高度な知識と技術が要求されているあらわれですが,機械化によって専門知識なしでも作業が可能な部門で給与の高い臨床検査技師の雇用が敬遠されるという皮肉な現実もあります.しかも難問化した国家試験に合格しても就職は順調と言えません.先輩たちの就職活動の様子を聞き,進路に不安を感じる学生は少なくありません.また,臨地実習で検査の自動化を見て臨床検査技師という職業の将来に疑問を持つ学生もいます.したがって「学生の学習意欲をいかに高めるか」は教育現場の大きな課題です.そのためには学生が臨床検査は生きがいにできる仕事であるという認識を持つことが必要でしょう.具体的に説明しようとすると,病理医でもある私としては専門である病理について話すことになります.病理部門でも自動染色機などが出現はしましたが,その染色結果は専門の臨床検査技師でなくては判定できません.病理解剖の介助や標本薄切,細胞診検査など機械化は難しい作業も多数あります.そして学生たちもまた生理・微生物とともに病理部門の仕事には大きな期待を抱いています.
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