Laboratory Practice 生理 超音波像の読みかた
肝臓 2)原発性肝癌,転移性肝腫瘍
峯 佳毅
1
,
森 秀明
2
1杏林大学医学部附属病院第3内科
2杏林大学医学部第3内科学教室
pp.142-147
発行日 2004年2月1日
Published Date 2004/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100574
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はじめに
肝悪性腫瘍は肝臓を構成する細胞より発生した原発性肝癌と,肝臓以外の臓器の悪性腫瘍が肝臓に転移した転移性肝腫瘍とに分類される.また原発性肝癌は組織型により肝細胞癌,胆管細胞癌,混合型肝癌,胆管嚢胞腺癌,肝芽腫,未分化癌などに分けられる1).このうち,肝細胞癌が95%と原発性肝癌の大半を占め,次いで胆管細胞癌が3%程度の頻度で認められる2).
近年,画像診断技術の進歩により肝腫瘍の質的診断が非侵襲的に正確に行えるようになってきた.CT(computerized tomography,コンピュータ断層撮影法)やMRI(magnetic resonance imaging,核磁気共鳴画像診断法)ではdynamic studyを行うことにより,腫瘍血行動態の面からの詳細な検討が可能であり,描出能とともに鑑別能も向上した.一方,腹部超音波検査の進歩も著しい.これまで超音波検査は簡便性,非侵襲性の面からスクリーニング検査として重要な位置を占めていたが,現在ではカラードプラ(color Doppler),パワードプラ(power Doppler)の機能がほとんどの装置に搭載され,容易に腫瘍血流の評価を行えるようになってきている.さらに経静脈的に投与可能な超音波造影剤が発売され,CTやMRIに匹敵するほどの詳細な腫瘍血流の評価が可能となった.このような超音波診断装置の進歩により肝腫瘍診断における役割も変化しており,スクリーニングのみならず精密検査や治療後の経過観察などの多くの場面においてもその重要性が増している.
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