学会印象記 第52回日本臨床検査医学会総会
幅広い話題からおおいに吸収できた
梅木 一美
1
1宮崎大学医学部附属病院検査部
pp.168
発行日 2006年2月1日
Published Date 2006/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100355
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今回の日本臨床検査医学会総会(総会長 濱崎直孝先生・九州大学医学部臨床検査医学)は日本臨床化学会との共催で「明日の検査をめざして」をテーマに特別講演をはじめ,シンポジウムなどのプログラムと一般演題528題で構成されていました.学会を準備し運営された先生方のご苦労がしのばれます.私の注目したシンポジウムを中心に紹介します.
【免疫血清検査】 近年,関節リウマチ(RA)は発症後早期に抗リウマチ薬や生物製剤で治療することにより高い治療効果が得られるようになってきました.これに伴い,早期のRAをより効率的に診断できる検査法が望まれており,その一つとして高い特異性と感度とを有する抗環状シトルリン化抗体(抗CCP抗体)が注目されています.さらに抗CCP抗体はMMP-3との組み合わせにより予後予測に有用であり,臨床検査への早期導入が期待されています(大田俊行先生).一方,リウマチ因子測定試薬には試薬間差があり,早急に試薬間差の是正,標準品の値付けの標準化が必要と指摘されています(今福裕司先生).また抗核抗体に関する全国的な調査の結果,蛍光顕微鏡によるばらつきの是正,コントロール血清,判別法の統一が必須であると報告されています.基準値は現在多くの施設で20~40倍希釈がカットオフ値ですが,臨床的には160倍が妥当と思われ,今後の検討課題として提案されています(赤星透先生).
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