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腎不全は進行度を基準として大きく分けて慢性腎不全と急性腎不全とに分けられる.慢性腎不全は糖尿病性腎症,慢性腎炎,良性腎硬化症など日本において透析導入あるいは腎移植が必要になる疾患が大きな割合を占める.その進行は一般に緩慢で年余にわたる経過を経て腎死に至る.急性腎不全は慢性腎不全の急性増悪という形をとる場合と腎不全を発症させるなんらかの急性疾患・急性病態があり,時間単位・日単位で腎不全が進行する場合とがある.慢性腎不全が不可逆的に進行するのに比較し急性腎不全は原因となる疾患・病態を改善させると可逆的な場合も多く,刻一刻の検査データの把握による適切な治療が治癒に重要な働きを持ち,多くの急性疾患のうち迅速検査の必要性が最も大きな疾患の一つである.また,慢性腎不全の一般診療においていかに迅速検査が診療の質を担保するか言及する.
急性腎不全
急性腎不全は急激な糸球体濾過量(glomerular filtration rate,GFR)の低下をきたす病態を総称した症候群である.多くの場合,乏尿や無尿を伴う.検査で高窒素血症の急速な進行をみる.通常血清クレアチニン(S-Cre)で0.5mg・dl-1・日-1,尿素窒素(BUN)で10mg・dl-1・日-1 以上の速度で数日間上昇する状態になる.原因により腎前性,腎性,および腎後性に分類される.高窒素血症が高度になると尿毒症の症状が出現する.同時に電解質・酸塩基平衡も大きく変動し生命予後に関与する.ここではまず急性腎不全を列挙し,その病態を述べたうえで,最後に第一線で必要になる検査とその総合的な所見の取りかたを述べ迅速検査の必須性に言及する.さらに急性腎不全の診断・治療と検査とのかかわりをフローチャートにして理解を深める.
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