増刊号 一線診療のための臨床検査
第I章 総論―臨床編
6. 腎・尿路疾患
2)血尿
伊藤 喜久
1
1旭川医科大学臨床検査医学教室
pp.1070-1072
発行日 2005年10月15日
Published Date 2005/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100234
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血尿とは
健常者では一日尿中に104~105個の赤血球が排泄されている.尿沈渣検査強拡大(×400)で毎視野3個以下が目安となる.血尿は赤血球が基準範囲を超えて存在する尿であり,通常毎視野5個以上が異常と判定される.観察所見からは肉眼的血尿と顕微鏡学的血尿に,自覚症状から症候性血尿と無症候性血尿に,経過からは持続的血尿と間欠的血尿に,解剖学的には糸球体性と非糸球体性に分類される.非糸球体性血尿は腎実質,上部・下部尿路,前立腺などからの出血であり,時に直腸,子宮などの骨盤内臓器疾患も加わる.出血,血液凝固異常など系統的疾患によるものもあり,種々の生理変化,先天性,後天性の病態異常,疾患により引き起こされる(表).
病歴,理学的所見が重要で,これに尿観察,試験紙検査,尿沈渣検査,超音波検査など適宜選択組み合わせて血尿か否かを鑑別し,関連組織,部位,原因疾患,病態を解析しながら治療が行われる.
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