臨床検査技師のための実践医療データベース論
第12章 データマイニング入門
片岡 浩巳
1
1高知大学医学部附属病院検査部
pp.1501-1507
発行日 2005年12月1日
Published Date 2005/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100200
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はじめに
データマイニングとは,膨大なデータのなかに潜む価値ある情報を発見することを目的とした研究活動と定義され,その情報処理技術は,幅広い研究分野で活用されている.これらの技術は,統計,機械学習,データベース,高速計算のためのソフトウェア技術やハードウェア技術などの総合的な学問領域で築き上げられた領域である.医学分野では,古くから過去の事例を基に新たな診断基準を発見する研究が進められ,1990年代では,EBM(evidence-based medicine,根拠に基づく医療)として体系化されてきた.しかし,情報処理技術からの視点で評価すると小規模な統計処理技術の範疇を脱していなかった.新たな展開が期待され始めたのは,遺伝子やプロテオミクス分野を中心にデータマイニング技術が数多く利用されるようになったここ最近のことである.
データマイニング研究を成功させるためには,解析対象となるデータベースがいかに正しく整備され,解析可能な形式で記録できているかという点にある.整備されていないデータベースをいくら解析しても,正しい結果を得ることは不可能なのである.これは,データの発生源である検査室に大きな責任があることを意味し,現場に携わる技師がデータベースを理解して整備することが未来のEBMを支える重要な鍵を握っていることになる.この最終章では,これまで学んできたデータベースを利用してデータマイニング技術を活用した事例を紹介し,この連載企画のまとめを行う.
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