絵で見る免疫学 基礎編69
自然免疫の細胞と役割(3) 自然免疫におけるパターン認識レセプターその3 TLR(Toll-like receptor)
高木 淳
1
,
玉井 一
2
1アボットジャン(株)器機診断薬事業部
2栄光病院
pp.832-833
発行日 2005年9月1日
Published Date 2005/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100113
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結核菌やサルモネラ菌などはマクロファージに侵入して増殖する.しかし,マクロファージのTLR(Toll-like receptor)-2がこれらの菌の外膜表面のリポ多糖体(lipopolysaccharide,LPS)を捕らえて貪食しファゴソーム内でリソソームによって消化・殺菌しペプチドに断片化し,IL(interleukin)-12を産生する.マクロファージはペプチドをナイーブT細胞に提示する.T細胞はIL-12存在下でIFN(interferon)-γを産生し感染している周囲のマクロファージの細胞内の菌を殺菌する(図1).
TLRは生体防衛機構の一員としての存在は大きい.しかし,TLRの過剰な応答が疾患の原因になることがある.LPSは大腸菌やサルモネラ菌などグラム陰性菌の外膜を構成する成分の一つであり,リン脂質,グルコサミン,脂肪酸から成っており,TLR-4はこれを認識する(図1(1)).グラム陰性菌に感染したときに陥るエンドトキシンショックは,血液やリンパ液中に多数存在する菌のLPSがTLR-4と結合し大量のTNF-α,IL-1,IL-6,IL-8,IL-12,IL-18など炎症性サイトカインを産生し,危機的な低血圧を引き起こす現象である.
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