高級技術講義
電気泳動法(Tiselius法)
島尾 和男
1
1東京大学医学部生化学
pp.79-86
発行日 1957年5月15日
Published Date 1957/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917751
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イオンやコロイドのような電荷をもつた粒子の溶液に電流を通ずると,これらの粒子は電荷の正負によりそれぞれ陰極または陽極の方向に移動する。これが電気泳動とよばれる現象であるが,電気泳動による移動のはやさの違いを利用して,物質の分離や分析をおこなう実験法を電気泳動法,この種の実験に用いられる装置を電気泳動装置という。電気泳動装置には実験の目的や種類によりいろいろなものがあるが,ここでは蛋白質のようなコロイド溶液の分析や易動度の測定,純度の検定などに主として用いられるTiseliusの装置と,これを用いた実験法についてのべる。
Tiseliusの装置の原法は1937年A.Tiseliusにより発表され,血清蛋白分劃の進歩に1時代を劃したことは周知のとおりであるが,その後多くの人々によつて改良が加えられて今日に至つている。ここではU字管内に試料溶液をいれ,電気泳動により生じたU字管内の試料成分の濃度分布を光学的に測定するという方法で電気泳動実験をおこなう装置をTiseliusの装置と総称することにする。
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