檢査室
Tiselius電氣泳動装置について
福井 靖典
1
1東京大學醫學部産婦人科教室
pp.330-331
発行日 1951年8月10日
Published Date 1951/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200523
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近年再び盛になつて來た蛋白質の研究に,先づ第1に試みられねばならぬ事は,純粋にその分屑を知る事である。
從來超遠心法(1940)及び電氣泳動法(1937)の應用せられるまではHowe (1921)の方法が用いられていた。これは或る濃度の硫酸ソーダ溶液を以て分劃鹽析するものである。その後Cohn(1945)はアルコールを使い分離している。又最近齋藤,吉川(1948)により少量の血清で分別沈澱法を用いて化學的に大略測定する事も可能となつて來た。然しながらこれ等化學的處置は溶解度がほゞ等しいというだけであつて,蛋白質という極めて微妙なものに對して非常な變化を加えるものであり,その本態をつかむ事は難かしい。その點電氣泳動法は處置が非常に緩除であるという良いところがあるが,これ又純粋なる2つの蛋白質分屑を同量づつ混じて泳動しても,色々な條件で必ずしも一方が50%と理論通りに行かぬ事がある。かくの如く蛋白質分離の方法は未だ確立されたわけではないが,各分屑を一度に得られ,實驗途上に於て條件を一定に出來,實驗成績を比較検討し易く,後日成績の残る電氣泳動法は優れたものと思われる。たゞ本法を行うには可成りの裝置が必要であり高價であり,操作に相當の熟練と時間を必要とする。この詳細に關しては平井,島尾(1949)の文献があり,又電氣泳動研究會が實施規定を定めているのでこゝには概略を述べる事にする。
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