高級技術講義
吸光分光光度計(1)
春日 誠次
1
1関東逓信病院臨床検査科生化学
pp.88-91
発行日 1957年5月15日
Published Date 1957/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917752
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1.吸収スペクトル
タングステン電球から発した白色光をスペクトルスコープを通して観察すると紫色から赤色までの連続したスペクトルがみられるが,光源とスペクトロスコープとの間に着色溶液をおいた場合にはスペクトルの中の一部が弱くなつているのが分る。之はその波長の光がその着色溶液の層を通過することによつて吸収されたことを示す。このようなスペクトルが吸収スペクトルである(第1図)。この場合は可視光線の吸収スペクトルの観察であるが,目が感じる光は4000Åから7000Å(1Å=10−8cm)までの波長をもつものであつてそれよりも短い或は長い波長の光は目に感じない。物質による光の吸収はかならずしもこのような可視部分の波長の光にのみ起るとは限らない。それよりも波長の短い紫外部,或は波長の長い赤外部にも起る。
吸収スペクトルはその物質によつてかなり広い波長範囲にわたつて連続的に吸収を示すものとせまい波長部分にのみ連続的吸収を示すものとがある。
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