特集 癌の臨床検査
I 癌そのものをとらえる検査
3 癌組織産生物質"腫瘍マーカー"の検査
B.各論 10)CA−50
石井 勝
1
Masaru ISHII
1
1埼玉県立がんセンター臨床検査部
pp.1366-1369
発行日 1989年10月30日
Published Date 1989/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917616
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はじめに
CA-50は,1983年スウェーデン,ゲーテボルグ大学のLindholmら1)によってヒト結腸直腸癌由来培養細胞株(Colo205)を免疫原としてハイブリドーマ技法を用いて作製されたモノクローナル抗体C-50が認識する糖鎖抗原である.CAはcarbohydrate antigenに由来する略称である.CA-50のわが国への導入は,1985年当初,Lindholmから競合RIA(competitive radioimmunoassay)用試薬供与の機会が筆者に与えられたことに初まる.これを用いて血清CA-50を測定した結果,Lindholmらが当時主張した大腸癌の腫瘍マーカーではなく,CA19-9とは若干異なる膵癌,胆嚢・胆管癌の腫瘍マーカーとしての高い有用性を認め,報告2)した.その後,わが国でもCA-50測定キットが開発され,他方,測定キットが国外からも導入され,今日ではほぼ膵癌,胆嚢・胆管癌の優れた腫瘍マーカーとして確立されてきたと考えられる.
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