特集 リポ蛋白・脂質代謝と臨床検査
11 後天性脂質代謝異常
6.肝疾患
板倉 弘重
1
Hiroshige ITAKURA
1
1東京大学医学部第三内科
pp.1570-1575
発行日 1985年11月1日
Published Date 1985/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917583
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はじめに
肝はリポ蛋白代謝の中心的臓器であり,肝疾患時にはその病態により種々のリポ蛋白代謝異常がみられる.肝炎など肝実質障害時には肝で合成される脂質,アポ蛋白,リポ蛋白などが低下するが,同時に肝はこれらの脂質やリポ蛋白の異化臓器でもあり,リポ蛋白分画によっては血中に停滞して増加することがある.特に顕著な変化として知られていたのが閉塞性黄疸時の高脂質血症であり,閉塞性リポ蛋白とも呼ばれる特異な組成のリポ蛋白分子が出現する.
肝疾患時にはリポ蛋白代謝に関連する酵素の中で特にレシチン:コレステロール・アシルトランスフェラーゼ(LCAT)や肝性リパーゼ(hepatic triglyceridelipase:H-TGL)の低下がみられ,これによってもリポ蛋白代謝が変化する.
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