特集 リポ蛋白・脂質代謝と臨床検査
4 リポ蛋白
3.電気泳動法によるリポ蛋白分画法—1)セルロースアセテート膜(オゾン化Schiff)
小沢 憲治
1
,
中野 栄二
2
Kenji OZAWA
1
,
Eiji NAKANO
2
1日本大学医学部附属駿河台病院臨床検査部
2日本大学医学部臨床病理学教室
pp.1331-1334
発行日 1985年11月1日
Published Date 1985/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917521
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原理
リポ蛋白に含まれる不飽和脂肪酸の炭素二重結合部分にオゾンを作用(酸化)させると,オゾナイドが形成され,アルデヒド基が生じる.このアルデヒド基とSchiff試薬(亜硫酸フクシン)が反応して赤紫色(キノイド型)を呈する(図1).また,飽和脂肪酸であるコレステロールは,オゾン化によりケトカルボン酸を生じ,Schiff試薬と反応して呈色するものと考えられているが,パルミチン酸やステアリン酸などの飽和脂肪酸を染色することはできない.
スダン・ブラックBやオイル・レッドOなどの脂溶性色素による染色法は,色素の溶媒相と脂質相の分配係数の差により溶媒から脂質へ色素が移行し,平衡状態に達した時点で染色が完了するものと考えられている.しかし,脂溶性色素法は有機溶媒を用いるため,染色,脱色時に脂質の一部が遊出する欠点がある.リン脂質や遊離コレステロールが相対的に多く遊出されやすい.オゾン化Schiff染色法は,支持体にセルロースアセテート膜(セ・ア膜)を用いた電気泳動法のみに適している.
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