グラフ
組織と病変の見方 肉眼像と組織像の対比—呼吸器とその病変(2)
金子 仁
1,2
1国立東京第一病院病理
2日医大・老人病研究所
pp.117-120
発行日 1971年2月15日
Published Date 1971/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917280
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肺の病変で最も重要なものは肺癌と肺結核である。肺結核は以前ほど注目されなくなり少なくなったが,それでもまだ恐るべき病気である.中でも空洞を形成した結核は治りにくい.空洞の中に結核菌が多量に生きているからである.粟粒結核は患者の体に免疫力がない,また少ないときに起こるもので,小児結核の1つの形であるが,この例のようにおとなでも免疫力が少なくなると発生する.
肺癌は近年クローズアップされたもので,日本でもずいぶん多くなった.組織学的に多彩なのが肺癌の特徴で,扁平上皮癌,腺癌,未分化癌の形を示し,ときに1枚の標本で,2つ以上の形をもっているものもある.したがって喀痰による細胞診も多彩である.ここでは組織像と細胞診を対比させた.未分化癌は一名燕麦癌(oat cell carcinoma)ともいう.細胞が麦の実に似ているからである.小型なので,細胞診のときリンパ球とまちがう可能性がある.
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