グラフ
組織と病変の見方 肉眼像と組織像の対比—呼吸器とその病変(1)
金子 仁
1,2
1国立東京第一病院病理
2日医大・老人病研究所
pp.1049-1052
発行日 1970年11月15日
Published Date 1970/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542906945
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呼吸器の代表は肺臓である.正常肺は軟らかいし,水に入れると浮かぶ.これは肺胞の中に空気がはいっているからである.肺胞は肉眼でも小穴として見える.うっ血が続くと肺胞中隔の毛細血管が拡張して,中から漿液が肺胞の中にはいる.これが水腫である.
うっ血水腫が長く続くと肺炎が起こりやすい.肺炎になると,肺胞腔の中に好中球,漿液,線維素がいっぱいはいるので,肉眼的に肺胞が見えないし,非常に硬い.肺炎のときに強い呼吸困難の起こるのはこのためである.肺胞内に空気のない状態が無気肺で,空気がはいりすぎて肺胞中隔の破綻したのが肺気腫である.
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