入門講座 血清
皮膚反応
松橋 直
1
1東大医学部血清学
pp.1052
発行日 1967年12月15日
Published Date 1967/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917198
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前回までには免疫血清学反応のうちでも試験管内反応を中心に,血清学的検出法としてすでに行われていたり導入されつつあるものについて述べてきた。このほかにも種々の反応がある。そのうち毒素やビールスの中和抗体について簡単に述べておく。ジフテリアや破傷風の感染をうけたり,これらの毒素を免疫注射すると毒素に対する抗体が発生する。この抗毒素血清と毒素とを混合すると毒素の作用が中和される。中和されたことを知るには,一定量の毒素をモルモットに注射すると死んでしまうが,この毒素に抗毒素と加えてから注射したのでは死なないことから毒素が中和されたことを知ることができる。ビールスの場合も一定量のビールスを感受性のある動物あるいは培養細胞に与えると感染がおこるが,あらかじめ抗ビールス抗体を加えたビールスを与えたのでは感染がおこらないことから中和されたことを知ることができる。この反応にあずかる抗体を中和抗体とよんでいる。
この中和反応あるいは免疫と関係あるものに皮膚反応があり,実際の免疫学的反応あるいはアレルギー反応の検査法として用いられている。皮膚反応には2種類あり,一つは前述の中和反応を皮膚反応の形でみるものであり,他の一つはアレルギー反応すなわち抗原抗体反応が生体にあたえる障害を利用したものである。
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