技術解説
島津型自動血球計数器使用上の諸問題
星野 孝
1
HOSHINO TAKASHI
1
1京都大学医学部附属病院中央検査部
pp.790-798
発行日 1964年10月15日
Published Date 1964/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916819
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緒言
近時臨床検査法の自動化がすすみ,正確な検査成績を迅速に得るために各種の器械が考案発売されている。血球数算定は臨床検査の中でも最も頻繁に行なわれる検査種目であり,単純な操作の割合に時間と労力を必要とするところから,早くより自動化が試みられた。欧米諸国と同様,わが国においても島津製作所より国産の自動血球計数器が製作発売され,早くも数年を経ている。現在わが国でも大病院検査室や研究所では各種の自動血球計数器が設備され,血球計数をはじめとして小粒子の自動的計数に大きな力となつている。京都大学病院中央検査部の血液検査室においては,早くより島津型自動血球計数器のPES-D型を備え,種々の検討を重ねた結果,日常の赤血球数算定に充分利用しうる確信を得て昭和38年3月よりすべての赤血球数算定にこの器械を利用してきた。さらに38年10月には新たに新型のPCD−4型を入手しえたので,後述する白血球数算定用稀釈液の完成とあいまって,PCD−4型(1図)を赤血球数算定に,PES-D型(2図)を白血球数算定に使用し,充分満足すべき成績を得ている。島津型自動血球計数器は,器械操作そのものはきわめて簡単で初心者でもなんらの習練を必要とせずに使用できるとはいえ,機構上ならびに実際上にかなりの問題点があり,精度の高い再現性に富む成績を得るために検討を要するいくつかの重要な要素がある。以下順を追ってこれらの問題点にふれてみたい。
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