特集 グラフ特集臨床検査の基礎
組織迅速診断と細胞診
子宮がんの細胞診
高橋 正宜
1
1中央鉄道病院臨床検査科
pp.70-73
発行日 1966年11月25日
Published Date 1966/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916036
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子宮癌において頸癌と体部癌の比はおおむね9:1で頸癌がはるかに多い。子宮頸癌診断に対する細胞診の価値はきわめて高く,"O期癌"とよばれる上皮内癌の時期に約90%診断が可能である。検査室は外来診察室で作製された塗抹標本を受動的に受けとる消極的な立場にあるが,細胞採取法の正確な標本でなければ細胞診の意義は皆無である。
後腟円蓋部から分泌物を吸引する腟塗抹標本は月経周期(性周期)の追究,ホルモン環境の変化をみるのに適しているが癌の診断には無力である。頸癌の診断には外子宮口周囲を木製のへら,あるいは綿球で擦過した頸部擦過塗抹法および頸管内膜を擦過した頸管内膜擦過塗抹法が適している。
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