特集 グラフ特集臨床検査の基礎
組織迅速診断と細胞診
胃の細胞診
山田 喬
1
,
安藤 豊輔
2
1国立がんセンター研究所病理部
2同愛記念病院外科
pp.62-69
発行日 1966年11月25日
Published Date 1966/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916035
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本邦における癌患者のなかで,胃癌に苦しむ者は最も多い。したがって胃癌の正しい診断は臨床検査として最も大切な検査法の一つであろ。幸い,レ線,内視鏡カメラ等の進歩により疑わしい病変をかなり確実に発見できるようになったので,胃癌は早期に正しく診断される機会が多くなった。
しかしこれらの診断法は肉眼的な診断法であり,決定的な判定を下すことはすべての例で必ずしも容易とは限らない。細胞診は顕微鏡的な診断法であり,個々の癌細胞の形態を認識することにより,確実に癌を診断し得る利点がある。癌の本質が癌細胞そのものにあり,宿主生体からの脱絆的な無限の増殖性と,浸潤発育性に癌の悪性の本質があるから,癌細胞診はその本質にふれた診断法ともいえる。
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