技術解説
腎機能検査法(3)—RPF,GFRの1回静注測定法
浦壁 重治
1
,
折田 義正
1
,
小山 紀久子
2
,
石橋 恭子
2
1大阪大学医学部阿部内科
2大阪大学中央検査部
pp.584-593
発行日 1965年7月15日
Published Date 1965/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915779
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はじめに
今回はクリアランス(Clearance)に話を進めよう。周知のようにこの概念はVan Slyke一派によって尿素クリアランスとして提唱されたものであるが,その後ひろく各種物質について追究され,腎の研究,臨床面で重要な機能指標の一つとなっている。中でも腎の物質動態計測の基本となる腎血漿流量(Renal Plasma Flow, RPF)と糸球体滬過量(Glomerular Filtration Rate,GFR)を本法によって非観血的に,しかも比較的容易に測定しることは,腎の生理ないし病態生理の解明におおいに貢献している。
さて今,単位時間(通常分単位)の尿量をV (通常ml単位),ある物質xの尿中濃度をUx,血漿中濃度をPxとした場合,xの腎クリアランスCxは,Cx=Ux・V/Px (単位:ml/min)で表わされる。ここでUx・Vは単位時間に尿中排泄されるxの量であるから,これをPxで除したCxは,Ux・Vが一体腎に流入する血漿何mlに含有されていたかを示す。換言すれば"Cxとは腎に流入する血液中から,毎分血漿何mlに含まれるxが尿中に除去清浄されるかを表わす数値である"と定義されている。しかし今のところこの理解に少しも頭をうばわれる必要はない。要はUx・V/Pxをxのクリアランスとよぶということを心にとめておけばよい。
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