臨床検査の盲点
1回静注によるクリアランス法
阿部 裕
1
1阪大中検
pp.777
発行日 1965年5月10日
Published Date 1965/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200841
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Van Slykeによつて提唱されたクリアランスの概念が,腎で特異的動態を示す数種の物質に応用され,腎血行動態の計測が容易に行なわれるようになつた。なかでも腎血漿流量(RPF)と糸球体透過量(GFR)は生理的意義が明瞭で,病的腎においても障害部位をよく反映した変化を示すので,現今ほとんどroutine testとして各検査室で行なわれている。
ところがクリアランスという一見高級な言葉とml/minといういかにも精密な感じを与える単位にまどわされて,何をさておいてもこの成績を信じこみ,極端な場合は少数点以下2桁まで有効数字を出している場合すらある。複雑な検査ほど検査誤差,測定誤差がはいりやすく,まして腎血漿流量,糸球体透過量など時々刻々と変化しているのであるからとうていこんな正確なデーターが出るはずはない。
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