研究
簡易検査法の精度に関する研究(2)—Thorombo test(Owren)の使用経験
佐藤 乙一
1
,
星野 辰雄
1
1国立立川病院研究検査科
pp.336-339
発行日 1965年4月15日
Published Date 1965/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915749
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はしがき
出血傾向の検査法としては古くから出血時間,凝固時間の測定が行なわれてきた。これらの検査法はいずれも出血性疾患の有無をたしかめることには役立っていたがその起因や状況を把握することができないため,実態の究明にはあまり益するところがないというのが定説になっていた。つまり,出血傾向の疾患ないしは出血性素因の原因としては血小板の数や質,毛細血管の強弱,凝血機転の関係など複雑な要素を考慮に入れなければならないにもかかわらず,以上述べたことを把握できないことにあった。そこで,これらの検査に異常をしめした場合はさらに詳細な分類試験にたよらねばならないところから,あくまでふるいわけ試験の域を出なかったのである。とくにこれらの検査法はかなり誤差を招く要素をもっており,術者のちがいによるバラツキ成績はどうすることもできす,また温度による影響と,静脈採血をともなうこと,凝固開始時間と完結時間の測定等多くの時間を要しながら,その割合に功は少ないというのが実態でもあった。
Prothorombin値測定は松岡等がQuick一段法改良法を昭和24年に発表以来急激に採用されはじめ,当時は,Thoromboprastin粉を各検査科で自家製をしつつもひろまっていったことを記憶している。しかしこの方法も凝血因子中,第V因子,第VII因子しかとらえられず,血液凝固第2相を対象とした異常発見の"ふるいわけ試験"にとどまっている。
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