薬の臨床
T.T.C.—Test (Urocheck)の使用経験
杉本 一則
1
,
宮島 貴
1
,
早川 佐和重
1
,
中野 栄喜
2
Kazunori Sugimoto
1
,
Eiki Nakano
2
1富山赤十字病院産婦人科
2金沢大学医学部産婦人科教室
pp.681-684
発行日 1967年8月10日
Published Date 1967/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203753
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
産婦人科領域では,婦人の解剖学的特徴により,日常,外来・病室において尿路感染症状を訴える者が比較的多く,特に,妊婦・褥婦においては,妊娠・分娩・産褥等による身体的環境変化により,尿路感染症状を訴える者が更に多いようである。また,かような場合,尿細菌学的検査で陰性の結果を得ることもまれではない。すなわち,物理的・神経的・ホルモン的要因に基づくものもあると思われる。
尿路感染症の診断の根本は,感染による真の細菌尿(尿1ml中に105以上の細菌が存在する場合)の決定であり,この決定には現在のところ,尿中細菌定量培養法が信頼すべき正確な方法とされている1)〜5)。 しかしこの方法はかなり煩雑で相当時間を要し,まだすべての患者の日常Screening法としては不適当な点が多いと思われる。一方,2,3,5,—Triphenyl tetrazolium chloride Test (TTC-Test)とは,簡便・迅速に感染による真の細菌尿をscreenする化学的な尿中細菌定量法で,1950年Wundt6)が,活発に代謝作用を行なつている細菌により,無色可溶性の2,3,5,—Triphenyltetrazolium chloride (T.T.C.)が赤色不溶性のTriphenyl formazan (T.F.)になる事実を発見したことに端を発している(図1)。
Copyright © 1967, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.