新しいキットの紹介
AT Ⅲ Lテストの使用経験—各種出血性・血栓性疾患のスクリーニングと,DIC診断・管理におけるアンチトロンビンⅢの意義について
高田 昇
1
,
久住 静代
1
,
武富 嘉亮
1
,
藤村 欣吾
1
,
蔵本 淳
1
1広島大学原爆放射能医学研究所内科
pp.1687-1691
発行日 1980年12月15日
Published Date 1980/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915683
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はじめに
アンチトロンビンⅢ(ATⅢ)は血液凝固系の生理的阻止因子の主役を果たし,凝固系のmodulatorの一つと考えられている1〜2).汎血管内凝固症候群(Disseminated Intravascular Coagulation Syndrome;DIC)では,ATⅢが低下している場合が多く,補助診断的価値が高い3.DICを惹起する基礎に凝固亢進状態があることから,治療としてヘパリンがよく用いられる4).ヘパリンが強力な抗凝固能を発揮するのは,ATⅢに作用してその阻止活性を瞬時に促進させるためであり5),ATⅢの低い状態でのヘパリンの治療効果は低いと考えられている.
ATⅢの測定法は後述のように種々あるが,DICが疑われる症例を扱う臨床医からは,ベッドサイドで容易に施行しうる方法の開発が望まれている.抗体感作ラテックスの凝集反応を利用したFDP (Fibrin-Fibrinogen Degradation Products)の半定量法は,DICの診断と管理上たいへん有用で,全国的に普及している.同じ原理をATⅢの半定量用に応用したキットが帝国臓器製薬の研究陣により開発・試作された.この度,これを試用する機会を得たので,最近私どもが扱った臨床例を中心に検討を行ってみた.
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