特集 出血傾向のLaboratory Diagnosis
Ⅱ.出血傾向を訴えてきたとき
2.成人
野村 武夫
1
1日本医科大学・第3内科
pp.1254-1259
発行日 1980年11月1日
Published Date 1980/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915616
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出血傾向とは,止血機構に欠陥があって外傷や外科的処置に際し異常に大量の出血を来し,あるいは正常者では問題にならない些細な外力が加わっただけで出血し,場合によっては自然に出血を生ずる状態を指している.実際には,患者が"出血傾向がある"と言って受診するわけではなく,紫斑,鼻出血,歯肉出血などの出血症状を訴えるのであり,これが果たして出血傾向に該当するか否かを判断し,もし出血傾向と思われれば,次いでその原因究明に取り掛かることになる.
疾患の診断に当たっては,問診の結果と身体所見を参照して必要な臨床検査を選ぶというのは,内科診断学の最初で教わったところである.出血傾向を診た場合にもこのルールを当てはめるのはいうまでもない.出血傾向を来す疾患の診断に臨床検査を欠かすわけにはいかないが,問診を入念に行い,注意深く診察をすれば,血小板,血管,血液凝固のうちどこに異常があるのか,そしてそれが先天性か後天性かという点にほぼ見当をつけられることが多い.引き続いて,出血傾向に関するスクリーニング検査によって裏付けをとり,更に必要な検査項目を適宜取捨選択して遅滞なく最終診断が下せる.
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