今月の主題 補体
技術解説
補体成分の活性の測定
近藤 元治
1
,
竹村 周平
1
,
吉川 敏一
1
1京都府立医科大学・第1内科
pp.1003-1008
発行日 1980年9月15日
Published Date 1980/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915562
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古く19世紀に,補体系(complement system)は細菌感染に際して血液中に産生される抗体とともに働いて,生体の感染防御に重要であることからその存在が知られるようになった.この細菌感染における補体の役割の主なものは,細菌の溶解(bacteriolysis),好中球による細菌の貪食作用(phagocytosis)におけるオプソニン作用の促進,及び補体の活性化により生じる白血球(主に好中球)を病巣に呼び集める白血球遊走因子(chemotactic factor)である.
ところが補体が細菌のような有害な細胞を破壊している限りにおいては,補体の役割は生体を守る立場にあるわけであるが,場合により自己の構成する細胞が破壊されるようになると,自己免疫疾患のように生体に害を与えることになりかねない.また補体の活性化に伴った分解産物として前述の白血球遊走因子のほかに,血管透過性を充進させるアナフィラトキシンや,好中球からライソソーム酵素を放出させる因子が産生され,炎症を起こすことも分かってきた.ちなみに皮膚に炎症が生じると発赤,発熱,疼痛が生じるが,これらはいずれも補体の関与した白血球遊走,血管透過性亢進,あるいはライソソーム酵素放出で説明できるのである.
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