今月の主題 微量金属
技術解説
鉛中毒の検査
和田 攻
1
,
岩井 秀明
1
,
呉 国用
2
1群馬大学・衛生学
2中国延辺医学院・衛生学
pp.751-761
発行日 1980年7月15日
Published Date 1980/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915509
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鉛中毒が発生する環境には,①一般環境と,②産業環境があるが,我が国での現状はほとんどが後者である,前者にはかつては鉛含有白粉による乳児の中毒,自動車排気ガス由来の鉛ないし鉛管由来の鉛による長期微量摂取,工場排水由来の鉛の経口摂取などが問題となったが,現在では典型的な中毒の発生はない,米国などでは鉛含有塗料由来の鉛の小児による異食症に基づく経口摂取が大問題となっていたが,我が国では幸いにみられない,したがって現在の我が国の鉛中毒の発生の可能性は活字鋳造,印刷,蓄電池製造,陶器工,鉛鉱山・精錬工など鉛作業者であり,これに対し鉛中毒予防規則(昭和47年)が制定され,この規則に従って予防対策がたてられている.
鉛中毒の検査法には,①直接法と,②間接法がある.前者は血夜,尿ないし毛髪中の鉛を直接測定し暴露・健康影響評価をするもので,後者は吸収鉛による生体反応,特に骨髄造血系でのヘム代謝異常を指標とするものである.本篇ではこれらの主なものにつき解説した.
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