公害物質の検査法・5
鉛
松本 久男
1
1久留米大公衆衛生
pp.1540-1546
発行日 1972年12月15日
Published Date 1972/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907880
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
鉛中毒はこれまでも重金属中毒の中では最も多い中毒であった.近年になって塩化ビニール安定剤としてのステアリン酸鉛の使用とか,鉛活字を使用する新聞など印刷物の増大などで使用が増加している,また自動車の驚異的増加とともに廃物となった鉛蓄電池から鉛を回収するため故鉛業が多くなり,多くの鉛中毒患者が出るようになった.さらに自動車排気ガスに含まれる鉛は環境汚染の重要問題ともなっている.このような状勢のもとで鉛の人体暴露と影響を診断するためには血中・尿中の鉛量を測定することが不可欠であり,正確にして迅速な測定法が強く要望されている.
本稿では著者がこれまでの実験経験などから得た血液,尿中の微量鉛の測定法に関する知見を解説したいと思う.
Copyright © 1972, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.