今月の主題 感染症
技術解説
マラリア原虫の検査法
中林 敏夫
1
,
小野 忠相
1
1大阪大学微生物病研究所・寄生虫病学
pp.335-341
発行日 1979年4月15日
Published Date 1979/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915065
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全熱帯地に発生するマラリアは,年間1億人以上の患者,100万人もの死亡者をみる熱帯感染症である.最近ではDDTの使用中止,クロロキン耐性熱帯熱マラリアの発生などもあって,患者数は増加の傾向にある.日本国内でもマラリアは輸入感染症としてしばしば問題になりつつある.
マラリアは発熱,貧血,脾腫を主徴とする原虫感染症で,国内では患者の渡航歴と特有の熱発作から臨床診断を下しうる場合もある.しかし,多くの症例では他の発熱性疾患との鑑別が必要となり,また,熱帯熱にみられるような非典的な熱発作や,脳性マラリアでほとんど発熱を伴わない症例もある.このような場合,マラリアの確定診断のためには原虫の検出が唯一のよりどころとなる.
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