増刊号 一線診療のための臨床検査
第II章 各論―検査編
1. 微生物検査
1)顕微鏡検査
(4)マラリアなど原虫の検査
小林 正規
1
,
今井 栄子
1
,
早川 枝李
1
,
竹内 勤
1
1慶應義塾大学医学部熱帯医学・寄生虫学教室
pp.1161-1165
発行日 2005年10月15日
Published Date 2005/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100255
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
原虫検査の基礎
顕微鏡による原虫検査は生鮮標本や染色標本に見いだされた原虫の形態的特徴を基に,種の鑑別を行うことを基礎としている.顕微鏡検査で迅速診断が可能なヒト寄生の原虫としては,血液寄生のマラリア原虫類などの胞子虫類,トリパノソーマ類や腸管寄生のアメーバ類,鞭毛虫類,繊毛虫(大腸バランチジウム),眼の角膜炎の原因となるアカントアメーバそして泌尿器寄生の腟トリコモナスなどがある.そのうち,「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(2004年改定)」により保健所に届出が必要な原虫症としてはマラリア(四類感染症),赤痢アメーバ症,ジアルジア症,クリプトスポリジウム症(五類感染症)がある.
試料の取り扱い
1 . 血液寄生原虫
1) マラリア原虫
ヒトを固有宿主とするマラリア原虫には悪性で致命率が高い熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)をはじめ,三日熱マラリア原虫(P. vivax),四日熱マラリア原虫(P. malariae),卵形マラリア原虫(P. ovale)の4種が知られている.
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.