技術解説
マラリア原虫と検出法
鵜飼 新一郎
1,2
,
沢田 滋正
1,2
1豊島病院伝染科
2日大・第1内科
pp.1080-1085
発行日 1971年11月15日
Published Date 1971/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907360
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日本内地におけるマラリアの確実な自然感染は,大鶴1)によると1959年滋賀県にみられた1例が最後であるという.したがってわれわれは一応本症とは無縁になったように思われるが,なおいまだに本症は麻薬常習者の間に潜在するといわれ,ほかにいわゆる輸入マラリアおよびそれに起因する輸血マラリアは,今後増加のきざしがある.
最近経験した1例は20歳男子学生が,昨夏約1か月間インドネシアに旅行し,ジャカルタはじめ各地に滞在しており,バリー島において発病したもので,現地の医師より治療をうけた既往がある.その際の診断名は‘重い病気’ということで,患者はマラリアということを再発時まで知らなかった.帰国後発熱のため某病院に入院したが,マラリア原虫陰性のため腸チフスと臨床診定され,われわれが診療する結果となった.以下本症の病原を中心に寄生虫学的概要を記すこととした.
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