感染症の検査法 Ⅲ 検査法各論
[5]培養法
7)特殊微生物
②原虫
中林 敏夫
1
,
小野 忠相
1
1大阪大学微生物病研究所寄生虫病学原虫学部門
pp.781-784
発行日 1989年5月15日
Published Date 1989/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205045
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病原性原虫の検査は,まず検体から鏡検により直接,原虫を見いだすことに努めるべきである.しかし,原虫は細菌に比べると本来その数が少なく,しばしば鏡検で検出できないときがあり,培養可能な原虫では必ず培養法を試みる.確定診断を行うために検体を培養に供する場合,原虫を検出することが先決であり,必ずしも純培養を必要としない.しかし,免疫診断に使用する抗原,抗血清を得たいとき,あるいは原虫の生化学的研究,in vitroでの薬剤スクリーニングなどを目的とする培養では純培養が必要であり,多くの原虫について試みられている.
病原性原虫は根足虫類,鞭毛虫類,胞子虫類および繊毛虫類に分類され,それぞれに重要な病原体が含まれている.ここでは便宜的に消化管寄生原虫,血液・組織内寄生原虫および泌尿生殖器寄生原虫に分け,培養法を中心にして最近の知見を紹介したい.
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