新しい超音波検査法・6
胸部・呼吸器
名取 博
1
,
玉城 繁
1
,
吉良 枝郎
1
1自治医科大学,呼吸器内科
pp.644-650
発行日 1978年6月15日
Published Date 1978/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542914780
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超音波診断法の呼吸器疾患への応用は,超音波診断装置の開発当初から種々試みられて来たが1〜3),肺の空気が障害となって内部構造の描写が妨げられるので,その適応には制約があった.そのために本法の呼吸器疾患への応用は極めて困難とされ,他方胸部X線写真から得られる情報が豊富なこともあって,臨床への応用や普及が遅れていた.しかし,含気のない胸壁,縦隔,横隔膜などの軟部組織の構造の映像化には超音波断層法が優れており,また日常の診療では,radiopaqueで内部構造を把握しえない胸部X線像を示す症例にしばしば遭遇するが,これら胸水貯留,胸膜肥厚や肺の含気が減少した状態は超音波診断法には好都合で,このような病的状態では胸郭内部も本法の対象となる.含気性の部分は主としてX線診断法,非含気性の部分は超音波診断法を組み合わせれば,両者の特徴を生かし,欠点を補って病変の実態を正確に把握することが可能になる.
このような考え方のもとに,最近我々は呼吸器疾患の診断に超音波診断法を導入し臨床的評価を行っているが4,5),開かれつつあるこの分野の超音波診断法について,臨床例を示して紹介する.装置の詳細や超音波検査法に共通な一般的留意点については,既に本シリーズの他の項で述べられているので最少限にとどめた.
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