カラーグラフ
解説
野村 武夫
1
1東京医歯大・第1内科
pp.124
発行日 1978年2月15日
Published Date 1978/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542914659
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末梢血液塗抹標本を検査する際には,白血球の百分比をとることに終始してはならない.赤血球と血小板の形態についても観察を怠らぬように注意し,更に白血球と血小板の増減に概略の見当をつけることが大切である.入念に観察すると,1枚の塗抹標本から非常に多くの情報を入手できる.ここでは赤血球の形態異常に注目し,それぞれどのような疾患を考えればよいか,解説を加えてみる.
大小不同症はすべての貧血で出現しうる.図1では濃染する大赤血球が混在するため大小不同が目立っている.この視野では認められないが,大小不同症には多少なりとも変形赤血球症(poikilocytosis)を伴うことが多い.図2も大小不同症が著明であるが,ここでは小型で著しく濃染する赤血球が多数存在するところが図1と異なる.図2には多染性(polychromasia)も見られ,網赤血球増多症があると推測できる.小球状赤血球は自己免疫性溶血性貧血て溶血が強い場合などにも出現する.
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